本の感想:『「謎」の進学校 麻布の教え』から感じる、子どもの好奇心を伸ばすために大事なこと

麻布中学・高校の名前ををご存じの方は多いでしょう。

都内の私立中高一貫の男子校で、武蔵・開成と並んで「御三家」と言われ、毎年東大に多くの合格者を出している超名門校です。

 

ちなみに私は卒業生ではありません。でも、オリエンテーリング絡みで多少関わりがあります。

実は麻布中・高には、私が経験した同様、オリエンテーリング部がクラブ活動で存在し、大会などでは毎度私の学校と対峙する関係だったのです。

親密だった、というほどの仲ではありませんが、常に大会で顔を合わせる中で何となく言葉を掛け合うような関係でした。

そんなオリエンテーリングつながりから「麻布」という学校を多少知っていた関係で、タイトルが気になり、『「謎」の進学校 麻布の教え』(神田憲行 著、集英社新書、2014年刊)という本を読みました。

■自由、のびのび、茶髪

この本の作者、神田憲行さん自身も麻布のOBのようですが、よくこの本に出てくるのが「自由」「のびのび」「自主性」という言葉。

 

ひとたび構内に入ると、髪の毛を色々な色に染めている学生が多く、学校見学に来た入学希望者の保護者などは驚かれることが多いようです。そもそも制服はなく、服装は自由。

文化祭の運営も学生主導でおこなわれ、予算やスケジュールの管理も自分達でする。

そもそもが「自主・自立」という精神の学校のようですが、まさにそれを体現している学生生活のように読み取れました。

 

■入試で求められるのは「子どもらしい素朴さ」と「大人っぽい考え方」の同居

そんな中で、同校の教諭が入試について語っているのが興味深かったので引用します。

・「知識がたくさんあってもそれは偉くも何ともない」「『こんなに覚えました』というのは麻布では評価しません」

・「その知識をどう活かしていくのか、どう自分で表現するのか、ということを求めています」

 

筆者は、麻布の入試では「上手な答え」よりも「その場で答えを導き出せる臨機応変な思考力」が求められるのではとまとめています。

 

そして、大手学習塾SAPIXからの声を引用し、麻布に受かりやすい子の特徴として

・学力が高いだけではない

・子どもが先天的に持つ好奇心を生かし、自分からどんどん調べる子

・最終的に自分で決める子

すなわち、「子どもの素朴さを持ちつつ、大人っぽい考え方ができる子」としている。

 

■幼い時に親として大事にしたいこと

もちろん、名門校に入学することは人生の中ではささいなことだし、東大に入ることが決して成功だとは思いません。

ただこの「素朴さ+大人らしい考え方の同居は、40歳を過ぎ、もうすぐ社会人20年目になる私から見れば、大人になってもとても大事なことだと思います。

 

目の前に起こっていることを変に邪推せずに素直に捉え、解釈する。

そしてそれを自分なり考えを構築し、行動に移す。

現代のビジネスマンにとっても求められる大事な心構えです。

 

こうした思考をもった子が集まっているからこそ、やはり麻布という学校は優秀、と言われる所以なのかもしれません。

 

だとしたら、このように健やかに成長するために親は何が出来るのか?

それは好奇心の芽をつぶさないことだと私は信じています。

日々の生活の中で子どもが疑問に思い、質問してきたことに対しては、真正面から受け止め、回答し、時には一緒に調べる。

こうしたことを繰り返していくうちに、子どもはどんどん自分で疑問を解決する行動に移っていく習慣が身に付く気がします。

 

そのためには、親がストッパーになっては絶対にいけないと思うのです。

好奇心を育てる、これが子ども達を人間的に大きく育てる上で初歩の大事な部分だと思うのです。

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折江 晃

ワークショップデザイナー/オリエンテーリング・インストラクタ 自称:地図育プロデューサー(44歳・男性)。 学生時代に競技オリエンテーリングに出会う。普段は鈍足なのに、地図読みが得意であったため、オリエンテーリングになると上位になれることからどっぷりハマり、いくつかの競技大会で上位に食い込む。 しばらく競技からは離れていたが、2児の父親となり、子どもの心身の成長に何か役立てないかと考えていたところ、地図の持つ奥深さを思い出し、「地図を使った子育て」を思い立ち、我が子に実践。 現在は、年に数回、オリエンテーリングの個人競技大会に出場する一方で、地図を使って「地図を使って、子どもが自ら考えて動ける力をつける」地図育を準備中。近々「親子向け地図育ワークショップ」を展開予定。