「負ける経験」こそがわが子を成長させる

1冊の本を読みました。

 

高橋和(やまと)さんという女流棋士が書かれた「頭のよい子は将棋で育つ」(幻冬舎新書)という本です。

http://www.gentosha.co.jp/book/b11553.html

 

高橋さんは、いまは現役を引退し、東京の吉祥寺で「将棋の森」という将棋教室を開いていらっしゃいます。

 

これまで教えた子どもの数は3000人。ご自身も一人の母親として、将棋の楽しさ、素晴らしさを、将棋の知識が何もないゼロベースの子ども達に教えたいという想いから活動をされています。

 

高橋さんは、以下の8つの「子どもの力」を育むのに大いに役立つと感じているとまとめています。

その8つとは、

・集中力
・記憶力
・先を読む力
・復習力
・逃げない力
・礼儀作法
・コミュニケーション力
・決断力

 

なのだそうです。

 

 

たとえば、「記憶力」

 

将棋の場合は棋譜とよばれる、互いの対局者が行った手を順番に記入した記録があり、その中から、いわゆる「勝ちパターン」を覚えていることが勝利への早道。

 

強い棋士ほど、とてつもない記憶力を持ち、多くの勝ちパターンを知っているというのです。

 

そして、記憶力は応用力をも鍛えるとも。

 

つまり、たくさんパターンを記憶していれば、「この場合はAのパターンが、状況が変わったので今度はBのパターンが使える」といったように、場面に応じて対応を変えることができるので、困ることが少なくなります。

対応できる場面が増えることで、困難な状況に追い込まれても切り開けることが多くなる、というのです。

 

私が注目したのが「決断力」

 

「決断力」について高橋さんは以下のようにまとめられています。

 

将棋は、瞬間瞬間で最適な判断を一つ一つ積み重ねていく。

 

小さな決断の積み重ねが勝ち負けという結果として表れることを子どもたちは心に刻んでいく。そして自分で決断した結果を受け入れていく。

 

自分で決断しないということは、人のせいに出来る、ということ。

 

同時に高橋さんは「負ける経験」を積むことの重要性にも触れています。

 

もし負けたとしてもきちんと自分自身で振り返ることで、「なぜ負けたのか」ということを客観的に自分を見つめ直すことが出来ます。

 

どの駒をどのように置いたのかはすべて自分の決断。

 

自分にとっては嫌なことでも、負けた時に自分が何を考え、どのように駒を置くように決断したのかを振り返ることで、次の機会に生かすことができるのです。

 

子ども達には結果を含めて自分の決断に責任を持てる人になってほしい。

 

この言葉に、高橋さんの、将棋を通して子ども達へ伝えたいメッセージがよく伝わってきます。

 

■「道に迷う」ことが「負けの経験」を積むことになる

 

本書の内容は地図育と共通する部分が非常に多く、共感できることがたくさんありました。

 

たとえば、地図を使う競技スポーツ、オリエンテーリング。

 

オリエンテーリングでは、「地図を持って、なるべく早く目的地にたどり着く」ことがルールですから、一番早く戻ってきた人が勝ち。

 

そのためには、どのようなルートを通ったら最短時間で戻ってこられるか決断する力が強く求められます。

 

最終目的地にたどりつくには、いくつかの目印をたどっていく必要がありますが、

 

・何を目印にし、

・その目印に行くにはどのような道を選ぶのか

・1つの目印にたどり着いたら、次は何を目印にするのか

こうしたことを1つ1つ選んで決断していく必要があります。

 

しかし、人間はミスをします。

 

 

いかに細かく地図を見て、周囲の風景を注意深く見ていても、

 

思い込み、勘違い、見落としなどで道を間違えます。

 

オリエンテーリングをする人間にとっては、

「道に迷う」ことこそが「負け」

に等しいことなのです。

 

 

でも、それは誰のせいでもありません。

 

見落としたのは明らかに自分のせいですし、

間違えやすいようなルートを選んでしまったのも自分のせいです。

間違えやすいとわかっていたのであれば、より慎重に行動することができたはずです。

 

 

すべてが自分自身の責任

本来のオリエンテーリングはレースですから、道に迷ったことでライバルに負けたとしてもその理由は自分自身の中にしかないのです。

 

■「道に迷う経験」が子どもを人間的に成長させる

 

地図育ワークショップでは、地図一枚を持ってオリエンテーリングをした後、振り返りのワークを入れることにしています。

 

どこを歩くように自分で決断し、どこで道に迷ったのか

 

この事実を自分で受け止めるもらうためです。

 

道に迷ったっていいんです。

そのこと自体はまったく悪いことではありません。

 

むしろ、その後に振り返ることの方が重要なのです。

 

そして、高橋さんが将棋に込めた想い同様に、

地図育もまた、子ども達に自分で考え、決断した結果について、

自分自身で受け止め、次に生かす力を身につけてもらう。

 

このことで、

 

子ども達が、

 

言い訳せず、結果を含め自分自身の行動に責任が取れる人材

 

になってもらうことを狙いとしているのです。

 

もし、あなたがお子さんと地図を持って歩く機会が作れたなら、お子さんにぜひ地図を持たせて歩かせてあげてください。

 

そしてお子さんが道に迷うことをネガティブに捉えないでください。

あなた自身が地図を見ていま自分達がどこに立っているのかをわかっていれば慌てることは何もありません。

 

お子さんが道に迷ったのならそこから「自分はどこにいるのか」を考える良い機会が来たととらえて一緒に考えてあげてください。

 

そして帰宅したあと、

・どこまでわかっていて、どこからわからなくなったのか

・なぜ途中からわからなくなったのか

を一緒に振りかえってあげてください。

 

そうすれば、あなたの大事なお子さんは自分自身を見つめ直すことができるはずです。

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折江 晃

地図育®コンサルタント(1972年生・男)。 一人でも多くの子ども達に、「自分の人生を自分で切り開く楽しさを実感して欲しい」という思いで、地図育講座・ワークショップを主宰。 小学4年生のときに、北欧生まれの競技スポーツ、オリエンテーリングに出会い、運動は苦手でも、地図の読解力、判断力、忍耐力などを発揮することで好成績を残せる点に魅了され、高校時代まで続ける。 大学卒業後、広告会社に就職。長年マーケティング業務にたずさわる中で、競技オリエンテーリングで培った「自分で考えて行動する力」がビジネスや人生に応用できることを実感。 この経験を自身の子育てに活かすために、地図を通じて「自分で考えて行動する力」を育むオリジナルメソッド『地図育®』を開発。全国の児童に普及する活動を展開中。 1972年生東京都出身・在住。明治大学政治経済学部卒業。小学生の女児・男児の父親。 【保有資格】 ・ワークショップデザイナー ・オリエンテーリング・インストラクタ 【連絡先】contact@mappower.jp

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