NHKあさイチ「不便益」特集から感じる、子どもの成長に不可欠な地図の力

6月15日のNHKの朝の情報番組「あさイチ」の特集は「不便益」でした。

http://www1.nhk.or.jp/asaichi/archive/170614/1.html

 

「不便益」、聞き慣れない言葉ですね。

 

番組にも出演されていましたが、京都大学には不便益システム研究所というこの「不便益」を専門に研究している組織があり、この研究所のサイトを見てみると、次のように解説していました。

 

便利とは,手間がかからず,頭を使わなくても良いことだとします. そうすると,不便で良かった事や,不便じゃなくちゃダメなことが,色々と見えてきます.

 

不便で良かったことを私たちは「不便益」 と呼びます

 

また放送後には、「テレビでの伝え方が不便益本来の意味と異なるというか,誤解を与えかねない内容になっていたように感じられた」として、Facebookでは不便益システム研究所広報担当としての私見として、つぎのようなことが書かれていました。

 

1) 便利益は否定しない.むしろ大歓迎.

2) 基本は,便利害(手間がかけられなくなったことによって生じる能力低下,注意力低下など)に対するアンチテーゼとしての不便益.

3) 身体的・認知的手間をかける(=不便)ことで,客観的益(タスク達成,能力向上など)が得られる.さらに,手間をかけたことを認識し,「手間をかけて,客観的益が得られて,嬉しい!楽しい!もっとしたい!」と思う主観的益が得られる.これらが揃って,はじめて不便益の条件を満たす.

4) 手間を工夫すればするほど,客観的益が増えるような関係性が重要である.

5) 昔の不便な生活に戻れ,便利な道具を捨てろ!といった文明批判・ロハスなどではなく,便利になることで失われた益を,新たに手間がかかるように「再設計(リデザイン)」することで取り戻す.

6) 人間の能力を活かす,向上させることが鍵.人間が不得意なところは機械システムによってカバーしてよい.ただし,システムに依存させないような工夫が必要.

7) ハンデがある方に無理やり手間がかかることを強いることは本末転倒である.

 

 

私がここで注目したいのは、

便利害(手間がかけられなくなったことによって生じる能力低下,注意力低下など)に対するアンチテーゼとしての不便益

 

 

現代のデジタル社会は便利さに溢れています。

ただ、便利さに身をゆだねすぎてしまうと、頭を使わなくなる、工夫をしなくなる。

 

だからこそ、あえて少し手間をかける「不便」なことをしてみることで自分の生活にメリットを作ろう、ということです。

 

 

実はこの考え方、私が提唱する「地図育」の考え方に非常に近いです。

 

 

私が「地図育」を進めようと思ったのは、まさ子ども達が生きる便利なデジタル社会に対する危機感。

 

便利さの裏返しは、どんどん頭を使わなくてもよい社会が進む、ということ。

そうなると「自分で考える」「何かを工夫する」という機会が奪われてしまいます。

 

ただ、子ども達がこれから生きていくのは、これまでの常識など通じない「正解」のない時代。

 

むしろ、「自分で考える」という行為が当たり前になっていなければ、どんどん流されて、他人が決めたことに従うだけになってしまいます。

 

これではグローバル人材にはなりえません。

 

地図育では、北欧生まれの競技スポーツ、オリエンテーリングのエッセンスを元に、

紙の地図を使って、目的地までの道のりを自分で考えて進んでもらうことで、「自分で考える力」を伸ばします。

 

地図に描いてある情報を読み取り、選択し、どこをどう曲がり、どっちの方向に進んでいくのか。

そのプランを自分の頭の中に思い浮かべ、実際に足を動かす。

 

途中、迷ってしまったならば、何がどう違うのか地図と目の前の風景を見比べながら確認し、修正する。

 

そんなことを繰り返しながら目的地まで自分の力で進んでもらいます。

 

 

もしスマホの地図のナビ機能だったらどうでしょう?

 

おそらく、どこをどう進めば良いのかは全てナビが指示してくれるでしょう。

 

確かに便利です。

でもそれで良いのでしょうか。

 

自分で地図を見て、方向性を定め、どのように行ったら効率的か試行錯誤で考える、という頭の中の一連のプロセスをすっ飛ばしてしまうのがナビ機能なのです。

 

地図は面倒くさい、よくわからない、という声はよく聞きます。

 

 

ただ、地図の持つ「不便益」は絶大です。

地図は「不便益」が詰まっている極めて大事なツールだと私は思います。

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折江 晃

ワークショップデザイナー/オリエンテーリング・インストラクタ 自称:地図育プロデューサー(44歳・男性)。 学生時代に競技オリエンテーリングに出会う。普段は鈍足なのに、地図読みが得意であったため、オリエンテーリングになると上位になれることからどっぷりハマり、いくつかの競技大会で上位に食い込む。 しばらく競技からは離れていたが、2児の父親となり、子どもの心身の成長に何か役立てないかと考えていたところ、地図の持つ奥深さを思い出し、「地図を使った子育て」を思い立ち、我が子に実践。 現在は、年に数回、オリエンテーリングの個人競技大会に出場する一方で、地図を使って「地図を使って、子どもが自ら考えて動ける力をつける」地図育を準備中。近々「親子向け地図育ワークショップ」を展開予定。

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