前回のコラムでも触れた通り、地図は3次元の世界を2次元に収めてしまったすごい道具です。
実際に使う時には2次元→3次元への翻訳作業が必要とも触れましたが、今回はその翻訳が正しいのかどうか答え合わせをする作業です。
あなたのお家の近くにちょっとした高台はありますか?
あるいはマンションなどにお住まいの方はご自宅のベランダなどからでもいいかもしれません。
そして今度は高台あるいはご自宅周辺の地図をネットからでも印刷してください。
2~3キロ先のものまで入った地図がいいでしょう。
そしたら、お子さんにその地図を持たせて立たせてみてください。
そして、目の前にひろがっている風景や、目の前にたっている建物が地図ではどれなのかを教えてあげてください。
するとどうでしょう。お子さんの頭のなかで、目の前に広がる風景と、手に持つ2次元の世界がぴったりとはまり、まるでパズルのピースがカチッとはまるような感覚に襲われるはずです。
この行動を示す言葉が登山用語でもあります。
それは「山座同定(さんざどうてい)」というもの。
ウィキペディアの説明を引用すれば
「展望できる山の名称を地図(地形図)や方位磁針などの使用によって明らかとすること」
「元は登山用語であり、山頂に立ったときなどに、方位磁針によって正しい方角を割り出し、それを地図上に落として目標となる山岳の名称を割り出すことを指した」
まさに同じですね。この技術を応用して、道に迷った時に周りの風景から現在地を推定する、という遭難回避のテクニックにもなっているようです。
これもオリエンテーリングでも普通におこなわれる軌道修正の技術です。
自分では思い通りのルートを進んでいるつもりでも勘違いや思い込みでいつしかズレていってしまうもの。
それを修正するための技術が、この「風景を見て地図上の現在地を把握する技術」なのです。
周囲の情報を元にしながら現在地を把握する。情報に対して敏感になっていないと出来ないことです。
地図の使い方、と共に、周辺情報に対する感度の訓練になるかもしれません。
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