ドラマで感じる過干渉の恐怖
現在NHKで放送しているドラマで「お母さん、娘をやめていいですか」(毎週金曜・22時~)があります。
このドラマ、テーマはずばり、「毒親」「過干渉」です。
このドラマのサイトの中に「あらすじ」として次のようにまとめられています。
娘、早瀬美月(波瑠)25歳。母、早瀬顕子(斉藤由貴)50歳。美月の中学受験や大学受験、就職の時もいつも二人三脚で頑張ってきた。
美月は完璧な母のサポートで順調に育ち、今は女子高の英語教師となり、母であり一番の親友である顕子を全面的に信頼していた。
二人はまるで恋人同士のように仲の良い母娘だった。この母娘の密着を父、浩司(寺脇康文)は気にかけていたものの、仕事一筋で二人の関係に踏み込むことができないでいた。そんなとき、新築中の早瀬家を担当するハウスメーカーの松島(柳楽優弥)が、不思議な人懐っこさで二人と親しくなる。顕子は彼を気に入り、美月とつきあうように背中を押すが、美月は松島と会うことで、自分が無意識に母親の顔色を見て生きてきたことを自覚していく。顕子は娘が次第に変わり、自分から離れて行くことに動揺し、自分の一番大切なものを奪われたくない、と次第に心の奥の危険なスイッチが入っていく。そして、ついに松島を誘惑してしまう―
このドラマ、過干渉の恐ろしさをじわじわと伝えています。
波瑠さん演じる高校教師の娘は、斉藤由貴さん演じる母親の教えが一番正しいと思って人生を過ごしてきました。
職場である学校の悩みを、具体的には生徒やPTA との軋轢の悩みが発生すると、すぐに学校から母親に電話して相談。
アドバイスをもらうと、心がすっきりして、そのアドバイス通りに行動します。
この斉藤由貴さん演じるお母さんの、娘に対する束縛が何とも恐ろしい。
尾行していちいち行動をしたり、娘の交際相手に関して、「付き合え」と言ったかと思えば、「別れろ」と言ってみたり、
娘が自分の手元から離れる行動に対しては反抗し、束縛しようとします。
大体、成人の娘の交際相手に親が口出しすること自体おかしいと思いますが、これまでもその言いなりになってきていた娘の姿も描かれています。
「自分に自信を持つ」気持ちを育てることの重要性
でも母親がこうした行動を取る背景には、その実の母親、つまり波瑠さんの祖母役の大空真弓さんとの関係があるようです。
この祖母は自分の娘に対し、幼いころから散々「あなたはダメな子ね」と悪口を言いつづけ、大人になってからも「あの時、ああすれば良かったのよ」といつまでも昔の傷を掘り返します。
言われ続けた結果、娘は自分に自信が持てず、自尊心が育たぬ大きくなり、結婚して母親になってしまった、ということが描かれています。
つまり、自信がなくその空虚感を埋めるために、娘を束縛し手元に置いているように思われます。
いわゆる自己肯定感をもてない悲劇です。
■地図を持って動くことは、「自分に自信を持つ」ことの成長につながる
斉藤由貴さん演じる母親の、「自分に自信を持つ」、つまり自己肯定感を持てずに育ってしまった悲劇、ドラマだけの世界であってほしいと思いますが、
最近子育てに関するフォーラムなどに出席すると、どこにいっても「子どもの自己肯定感の低さ」ということがテーマになっています。
自己肯定感を持てるようになるには、何でもよいですから「成功体験」を積み重ねることが大事です。
私が経験した地図を持って前に進むスポーツ、「オリエンテーリング」はこうした小さな成功体験を積み重ねるには最適です。
ひとりで地図を持ち、山中でチェックポイントを探す。
誰一人相談相手がおらず、自分ひとりで地図を読み解きながら前に進む。
まさにちょっとした冒険です。
道に迷えば途方にくれますが、何とか自力で頑張るしかありません。
そして、ここにあるはずだ、と思った場所でチェックポイントを見つけたときの嬉しさと言ったら!
もう言葉には尽くしがたい快感が全身を駆け巡ります。
この快感は、「ぜんぶ自分でやり遂げた」という達成感に他なりません。
だからこそ、次にまたやってみようという気力が出てくるのです。
地図を読む、という行為は、さらに実際に動くことで、メンタルの面でも人を成長させてくれるのです。
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