オリエンテーリング、と聞くと、皆さんどういうイメージを持つでしょうか?
遠足の延長のハイキングのイメージ?
ちょうどこんな感じでしょうか?
日本でオリエンテーリングだとこのイメージが一般的だと思います。
のんびりテクテク、楽しい雰囲気が伝わってきます。
では次にこの動画を見てください。
どうですか?女性がたった1人で全速力で駆け抜けています。
びっくりしましたか?でもこれがヨーロッパで盛んにおこなわれている本来のオリエンテーリングの姿です。
実は日本のようにグループでおこなうオリエンテーリングの方が世界的には特殊です。
なぜ、こうなったか?
日本にオリエンテーリングが本格的に紹介されたのが1960年代。
その時に普及させるのに「競技」ではなく「レクリーション」として扱ったことが大きな要因のようです。
私は小学4年生の時に、このグループオリエンテーリングから初め、中学一年生から、1人で走る競技オリエンテーリングに移行しました。
グループ、個人がどっちが悪くて、どちらが良いなんてことを論じるつもりはありません。
どちらも良い面があり、逆に不足している点もあります。
お互いの良いところを生かしながら、それぞれを経験することで、子どもから大人まで多くの人々にたくさんの学びを与えてくれるのです。
■グループオリエンテーリングの良いところ
グループオリエンテーリングの良いところは、チームとしてチェックポイントまでのベストルートを選択するまでの合議形成の過程を体験できるところにあります。
A君は交差点を右に曲がりたいところを、もしかしたらB君は左に曲がりたいかもしれません。
意見が合わない時にどうするのか?喧嘩になってしまうこともあるかもしれませんが、そこで
なぜA君は右に曲がるべきだと思ったのか、逆にB君はなぜ左に曲がるべきだと思ったのか。
そこで話し合いがおこなわれ、その理由の検証がされ、お互いが納得した上で1つのチームとしての結論を出す。大人のビジネスの世界でも頻繁に行われるチームビルディングを学ぶことが出来るのです。
1つのワークショップといってもいいかも知れません。
これがグループオリエンテーリングから学べる大きな利点です。
数多くの会社の研修でグループオリエンテーリングを導入している例が多いのも恐らくこのためだと思われます。
■個人オリエンテーリングの良いところ
一方で個人オリエンテーリングの良いところは「すべて自分1人で決断し、行動する状況に追い込まれる」ことにあります。
地図とコンパスを持ち、チェックポイントまでの道のりを決めるのはすべて自分。
地図から必要な情報を読み取り、自分なりに行く道筋を仮に決めておいて進んでいく。
だけれども、人は間違う生き物。勘違いをしたり、見落としたりしてなかなかうまくいかなくて迷ってしまう。
そんな失敗を犯すのもそれをリカバリーするのも全部自分の責任。
そして個人の場合、競技なので順位がかかっています。
どれだけ短い時間でまわってこられるか、という結果が全ての世界。
ミスすればそのぶんタイムロスになり、順位が下がるのです。
すべては自分で決断&行動、
これが個人オリエンテーリングで学べる大きな要素です。
■個人、グループそれぞれの良いところを学びながら人間力を高める
繰り返しになりますが、このどちらかに優劣をつけるつもりはありません。
どちらにも学びがあり、生きていく上で必要なウキるが身に付く要素が詰まっている。
企業研修などでは当たり前のようにグループオリエンテーリングだけが導入されていますが、
経営者を志す人にとっては、「自分で決断する」という思考の癖をつけておくことも大事。
何を学びたいのか、何を子どもに学ばせたいのかに応じて使い分けすれば、誰もが人間的に大きくなれるのです。
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