10月22日におこなった第2回地図育ワークショップのお話の続きです。
前回のコラムでは、悪天候のためフィールドワークができなくなったため、屋内プログラムとして、風景写真を見て地図上で撮影場所を当てる「ポジショニングゲーム」のお話をしました。
次のプログラムとして、今度は「道案内作文」を書いてもらうことにしました。
道案内作文とは、
・初めて来る人に電話で道案内することを想定して、
・なるべく早くたどり着けるために、わかりやすく誘導する文章。
のことです。
なんだ、そんなことか、と思われるかもしれませんが案外難しいものです。
人間は、自分が理解できているものは周りの人も理解できて当たり前、と思いがち。
けれども、本当は人にはそれぞれ個性があって、同じ風景でも見ているところは違う。
理解力だって、人によって差がある。
丁寧に説明したつもりでも相手は全然理解していなくて、イライラした経験は誰にだってあるはず。
だからといって、相手を責めるのではなく、相手の立場になって、きちんと理解できるように考えてわかりやすくする工夫が大事。
大人になると、仕事でプレゼンする機会が増えてきます。
最近では、大学生が普通に「明日プレゼンするんだ」なんて言っているのを聞くことがありますが、プレゼンすることが多い職業となると、難しいことを難しく言うのは二流のやることで、
難しいことをわかりやすく言うのが、一流なんだそうです。
プレゼンはやはり上手な方が良いです。
なぜなら、そのほうがコミュニケーションがうまくいきますし、
何より自分や会社の意志が通れば、そのあとはやりたいように動ける訳ですから、メリットも大きい。
だから、子どもの頃から、自分たちのためにも、
「相手の立場に立って説明する」
という機会をつくっておくことは大事。
私はそう思います。
その基本は「道案内」から学べます。
あなたは最近だと、いつ人に道を聞いたり、聞かれましたか?
近頃は皆スマホのGPSがあるので、わざわざ人に道を聞くことも、聞かれることが少なくなっている気がします。
今回参加してくれた中1男子の一人も「道に迷ったことがない!」と言っていましたが(実際には一度あったみたいです)、確かに現代社会は都心にいれば道に迷う経験が少なくなっているのかもしれません。
前書きが長くなりました。
今回のワークショップ・雨プログラム編では、まず次のような地図を出しました。
「△のスタート地点から◎のゴール地点までを電話で声だけで案内してください」
今回はともに中学1年生の男子が、家族を道案内する相手と見立てて上手に説明することができました。
ちなみに私は回答例として、次のような答えを出しました。
- ジャスコを背にして左に進みます。
- しばらく進むと交差点にぶつかるので、「太平洋石油」の角を右にまがります。
- しばらく進むと、正面にセコムが見えてきます。
- セコムのある交差点を左に曲がってしばらく進むと、右手に目的地が見えてきます。
私が”上手な道案内”だと思う定義は次の3つです。
・相手が歩いているうちにどのような風景が見えてくるか、想像できていること
・歩いている先のどの地点についたときに、どの方角に曲がれば良いのかを明確に指し示せていること
・歩いている途中で安心できるように、何が見えてくるのか適度に情報を与えられていること
いずれにしろ、大事なのは、独りよがりにならずに、聞き手の目線になってわかりやすく説明すること。
これ、大人だろうと子どもだろうと同じです。
たかが地図、されど地図
地図から得られる生きていくための知恵は本当にたくさんあるんです。
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