■ほんの10年前、イクメンは当たり前ではなかった
「イクメン」などという言葉がだいぶ一般的になってきました。
父親が育児に積極的に参加する。奥さんにまかせっきりにせず、自分の出来る事で家族をサポートする。
約10年前になってしまいますが、いまどきの父親の子育てに関する意識と行動を研究するプロジェクトに私は参加し、全国の約1000人のお父さんの声を聞く機会にも恵まれました。
その結果で見えてきたことは、10年前から子どもの健やかな成長を願って行動をしようとしていたお父さんがしっかりいた、ということ。
しかも、社会的ステータスが高いほどその傾向が強いということ。
「何当たり前のこと言っているんだ」と思われるかもしれません。
でもこの調査結果を出した10年前は決して当たり前ではありませんでした。
この調査と分析の結果を、一緒にプロジェクトに参加していただいたゲストスタッフが大手企業さんに説明すると、
怪訝そうな顔をされ、「そんな育児に積極的な父親がいるわけないだろう、いるとしたらよっぽど暇な奴だ」と年長者には鼻で笑われたそうです。
ところが部下の若手になると「わかるわかる」と話を聞いてくれたそうです。
高度成長期に頑張ってきていた「企業戦士」とそのとき若手だった「いまどき社員」では既に大きな意識の差が垣間見えていたのです。
■男の子育てに対する意識は随分変わった
さて、あれから10年後、あのとき若手だった方々はいまどういったポジションに就いていらっしゃるのでしょう。
10年経てば組織は世代交代しています。
当時の若手は現場を引っ張るリーダーとなっているはずです。
確実に時代は動いています。
ついこの間まで、上司に隠れるように休暇をとって「家族サービス」という言い訳めいた言葉で育児参加する時代はとうに過ぎました。
「父親にしか出来ない子育て」これが見直されつつあります。
ひとりの父親として子育て出来る期間はごくわずかかもしれません。そのために何を教えられるのか?
父親として今しかできないことをこのコラムではもっともっと追求していきたいと思います。